いまさら聞けない?ビジネススーツの基本マナー (男性向け)

メルマガ記事 2017.04.11 15:15:10

多くの方は日頃、スーツを着用してお客様と接していらっしゃると思いますが、ふと、スーツの着こなし方について、気になることはありませんか?
特に初めてお会いするお客様には、第一印象でしっかりと信頼感を与えたいですよね。
しかし、スーツ着用時のマナーが知りたいと思っても、流石に面と向かって指摘してくれる人は少ないでしょうから、中々正しい情報を学ぶ機会は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、いまさら聞けないスーツのマナーということで、スーツをきちんと着こなすための基本的なマナーをまとめました。
これで全てというわけではありませんが、基本を抑えて気持ち良くお仕事を進めていきましょう。

それでは以下、アイテムごとにマナーを見ていきます。
〈目次〉
(1)ネクタイのマナー
(2)シャツのマナー
(3)ジャケットのマナー
(4)ベルトのマナー
(5)パンツのマナー
(6)足元のマナー

(1)ネクタイのマナー

ネクタイは無難な色柄のものを、正しい太さや結び方で着用しましょう。

①ネクタイにはディンプル(くぼみ)を作る

〈ディンプル〉

ネクタイの結び目には、ディンプルと言われるくぼみを作るのが基本です。 ディンプルがないと、平べったく物足りなく見えてしまいます。

②ネクタイはベルトにかかる長さ
ネクタイは、太い方の端(大剣の先)がベルトのバックルの、ほぼ真ん中にかかるくらいの位置で結ぶのが一番美しいとされます。どこから結び始めるかは体格や結び方によって変わります。何度か結んでみてちょうど良い位置を見つけてください。

③ネクタイの太さはラペルに合わせる


〈ラペルの一番太い部分〉

ネクタイの太さはラペル(下襟)に合わせます。
ネクタイの一番太い部分と、ラペルの一番太い部分の長さが同じ位になるように選びましょう。幅広のワイドラペルには太めのタイ、反対にナローラペルには細めのタイを合わせるのが鉄則です。幅があっていない組み合わせではチグハグな印象となり違和感を与えます。

④ネクタイの色は濃紺・エンジ・グレー
フォーマルに決めたいときは濃紺・エンジのネクタイが良いでしょう。
濃紺はスマートな印象を、エンジは情熱的な印象を、グレーは落ち着いた印象を与えられます。柄も派手ではないストライプや小紋柄などを選ぶと、好印象です。

(2)シャツのマナー

シャツは、昔はスーツを汚れから守る下着のような役割を果たしていました。清潔感と、ジャケットから少しシャツが見えるサイズ感が大切です。

①無地の白シャツが基本、薄い水色まではOK
無地の白シャツ・水色シャツが基本。派手でなければストライプ柄でも問題ありません。

②シャツの襟先はスーツの襟の下へ
 一般的にシャツの襟先はジャケットのラペル下に隠れるようにします。
最近は襟が大きく開くワイドタイプが人気ですが、開きすぎて襟先がスーツの上にかからないように注意しましょう。
最も広く開くタイプのホリゾンタルは、改まったビジネスの場ではあまりふさわしくないという意見もあります。


〈ホリゾンタル〉

③腕を下ろしたときに、シャツが1~2cm見える
袖口からシャツが見えないと、ジャケットが大きく見えてすっきり着こなせません。
腕をまっすぐに下ろしたときに、シャツが1~2cmほど出るようにするのが基本です。
シャツがジャケットの袖が汚れるのを防止してくれる効果もあります。

④後ろ襟がジャケットから1.5~2cm見える
後ろ襟が少しジャケットから見えていないと、野暮ったい印象を与えてしまいます。
ジャケットの上襟が浮いてしまったり、シャツの襟がジャケットに隠れてしまったりする場合、洋服が体型に合っていないということになります。

(3)ジャケットのマナー

ジャケットはやはりいちばん目立つパーツですので、内容も盛り沢山です。

①ビジネスで好まれるスーツの色は?
ビジネスに黒スーツは基本的にNGとされてきました。
黒いタキシードに代表されるように、本来黒のスーツは晴れの日か葬儀のときに着るものです。
あまり派手な服装が好まれないビジネスにおいては、本当にかしこまった色は濃いネイビーかグレーの無地かストライプです。
ネイビーかグレーのどちらが好まれるかは、相手の職種や年代によります。

一般的に
ネイビー :堅い職種
グレー  :柔らかい職種
ストライプ:若手
無地   :ベテラン
に好まれるようです。

ただ、就活の黒スーツに代表されるように、最近は黒スーツをビジネスの場でも着るようになりました。
NGとされるのは冠婚葬祭用の真っ黒なスーツで、目立たないストライプなどが入ったビジネス向きのスーツを着るのは問題ありません。

②ポケットのフタは入れるの?
ジャケットのポケットについているフタの部分はフラップと呼ばれ、元々雨やホコリからポケットを守るために作られました。
従って汚れる心配のない室内では、フラップをポケットの中にしまうのがマナー。 また屋外であっても、フォーマルな場面ではフラップをしまいます。
基本的に、フラップを出すか出さないか統一してあれば問題ありません。

また、ポケットの中身についてですが、ポケットにたくさん物を入れたままだと、フラップが内側に入りません。膨らんだポケットは見た目が悪い上、型崩れにも繋がります。できるだけ何も入れないようにしましょう。

③ジャケットのボタンはいくつ留める?
まずシングルの場合、ジャケットの一番下のボタンは留めません。
つまり、3つボタンのジャケットは上から2つを留め、2つボタンのジャケットと、段返り3つボタンジャケット(3つボタンの、1番上と2番目の間で襟を折り返しているタイプ)は上の1つだけを留めるのがお約束です。
ダブルの場合は、ボタンはすべて留めても、下1つだけ外してもかまいません。

④胸周りはこぶしが1つ入る余裕を持つ
ジャケットの胸周りは、ボタンを留めた状態で胸部ラペル下にこぶしが1つ入るくらいのフィット感です。あまりにスリム過ぎると窮屈でウエストの横ジワの原因となります。
それから、ボタンを閉めたときに背中にシワが入るかどうかがでも、ジャケットのフィット感は確認できます。
ボタンをとめたときに縦にシワが入ったら、生地が余っているということなので大きすぎ、横にシワが入ったときは小さすぎと言えます。

⑤肩がしっかり合っているか
スーツを選ぶ上で大事な「肩」。「スーツは肩で着る」と言われる程大事なポイントです。
ジャケットが自分に合っているかどうかは肩で決まります。まずジャケットを着たらフロントボタンを留め、肩回りがきつくないか、反対にブカブカと無駄なゆとりは無いかチェックします。
次に鏡に映し、肩先が落ちていないか、妙に持ち上がっていないか確認しましょう。

⑥着丈はお尻がちょうど隠れる長さ
ジャケットの着丈は、お尻の曲線がちょうど隠れる長さがスタンダードだと言われます。

⑦座っているときはボタンを外す
立っているときはボタンを留めて、座ったときはボタンを外すのが基本です。
座っているときにボタンを外すのは、ジャケットにシワが寄って形が崩れてしまわないようにするためです。

(4)ベルトのマナー

①ベルトの穴は真ん中を使う
ベルトの穴は5箇所空いていることが多いですが、購入するときは5個のうちの真ん中で締められるような長さを選びます。
ベルトの余りは中央の穴で留めることを前提に設定されているため、一番手前で締めるとベルトの端が余って飛び出しますし、奥で締めるとベルトの端が十分に出ず、お腹周りが大きい人だという印象を与えてしまいます。

②ベルトの色は靴に合わせる
ベルトの色は靴に合わせるため、基本は黒か茶色になります。

(5)パンツのマナー

①ウエストは腰骨に合わせて
ジャケットが肩なら、パンツは腰骨で履くイメージです。サイズ感に関しては、ウエストは指が1本入る程度の余裕を持ちましょう。
緩すぎるとだらしない印象になりますし、パンツに縦しわが寄ってしまいます。きつすぎるとパツパツな見た目、かつ着心地が窮屈になってしまいます。
指1本入る程度だと、歩いていてパンツが下がってきても腰骨のところでちょうど止まってくれます。

②裾は長くしすぎない
最近はパンツの裾が靴にほとんどかからないタイプ(ノークッション)をよく見かけます。特に細身のパンツ(おおむね裾幅20cm以下)は、裾が靴に触れるか触れない程度の短さで格好よく決まるとされます。
裾幅が20〜22cmのもう少しゆったりしたタイプの場合は、靴に3〜4cmほどかかる程度にします。

③センターラインはしっかりつける
パンツのセンターラインはしっかりつけておきます。まっすぐなパンツのセンターラインは、足をすっきり長く見せてくれる効果があります。

(6)足元のマナー

「足元を見られる」と言われるように、靴や靴下は身だしなみがきちんとしているかの基準になります。

①スーツに合わせる靴は紐靴
スーツのときは紐靴が基本です。 ローファーやデッキシューズは、フォーマルなビジネスの場には少しカジュアル過ぎます。
紐靴ではない靴で唯一ビジネス向きと言えるのは、モンクストラップというベルトがついたタイプです。

〈モンクストラップ〉

また最もフォーマルとされるのは、つま先の横に一本線(ストレートチップ)が入った黒ストレートチップです。
靴ヒモが内側に入り込んでいるとさらにフォーマルになりますが、ビジネスでは靴ヒモが外に出ているタイプがよく使われます。
ビジネスから冠婚葬祭まで使えるため、1足持っていると安心です。

〈黒のストレートチップ〉

②靴の色は黒・茶、靴下の色は黒・ネイビー・グレー
黒に近いネイビーかグレーのスーツには黒い靴に黒のソックス、ネイビースーツには茶の靴とネイビーソックス、グレースーツには茶の靴とグレーソックスを合わせます。

③靴下の丈はスネを隠せる長さに
靴下の丈は座って足を組んだときにもスネの部分が見えない長さにします。スネが見えると、相手に嫌悪感を与えてしまうことがあります。暑い時期でも、靴下は長めのものを選びましょう。

④靴下の色はスーツ、またはシューズに合わせて黒・ネイビー・グレーから選ぶ
靴下の色はスーツの色、もしくは靴の色に合わせましょう。スーツを着る際は、白い靴下や、くるぶし丈の靴下などはNGです。
スーツに合わせた色の靴下を選ぶことで、全体の統一感が生まれるだけでなく、パンツと靴下が繋がって足が長く見える効果も期待できます。

参考:「スーツ着こなし事典」朝日新聞出版